派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「違うっ。
 後ろっ。

 戸っ。

 隣のご主人っ」
とほぼ単語で言うと、

「なんだ、隣の旦那がどうした?
 浮気してんじゃないだろうな」
と言ってくる。

 最早、意味不明だ……と思っているうちに、玄関の板張りに押し倒される。

「ちょっ、ちょっと、此処はやめてくださいっ」

「だって、今日、ずっとお前のことを考えてたんだ」

「いや……仕事中は、仕事してくださいよ」

「仕事しながらでも考えてられる。
 頭がいいから」

 自分で言うな……。

「あのっ。
 せめて、あっち行きませんかっ?」
と渚を押し返そうとして、訴えると、

「ほう。
 自分からベッドに誘うとは一日で随分成長したな」
と言ってくる。

 いやいやいやいやいや。
 違うからっ。

 違うからっ。
 絶対っ!

 渚は上から退いて笑って言う。