派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 未来が消えても、渚は廊下に現れなかった。

 また騙されたかな? と思いながら、ドアを閉めようとしたが、そのドアをガンッと抑えられる。

 うわっ、と振り返ると、渚が立っていた。

「下で、あの未来とかいう小僧に絡まれたぞ」
と言ってくる。

 それで遅かったのか、と苦笑いした。

「大丈夫か?
 あいつ、お前に気がないか?」
と訊いてくるので、笑う。

「違うよ。
 未来は弟みたいなものだから。

 未来のおばさんが……うちの近所で」
と言うと、なんだ、その間と、言われる。

「まあ、いい。
 入れろ」

「……もう入ってるじゃ」
 ないですか、と言い終わらないうちに、渚は抱き締め、キスしてくる。

 ドア、渚さんの身体に当たって、完全にしまってないしっ。

 退いてっ。
 閉めてっ、閉めてっ。

 また、お隣さんに見られるっ! と暴れたが、無視された挙句に、
「なに嫌がってんだ」
と言われてしまう。