派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 まあ、こんなところに、ポンと置いてる方がみんなオモチャかなにかだと思うだろうが。

 勝手に蓮の頭に載せてみて、未来は、可愛い可愛い、と手を叩いている。

「よく似合うよ」

「あ、ありがとう……?」

 部屋着と合ってないと思うんだけど、と思っていると、未来は、ティアラを被った蓮を見、
「姫、これからいろいろあるかもしれないけど。
 後悔ないよね?」
と言ってくる。

「な、なに、その脅しみたいなの……」

「脅しじゃないよ。
 いろいろ覚悟しといた方がいいよって話。

 ああ、ほら、来たじゃん」
と振り返っている。

 が、そちらを見たが、渚の姿はなかった。

「今、下に着いたよ。
 電気自動車の音がした」

 怖いよ、未来。
 そして、何故、今日、渚が会社にあの電気自動車で来たことを知っている? と思う。

「じゃあね、お姫様。
 その格好のまま、廊下に立ってたら、莫迦みたいだよ、じゃ」
と最後はいつものように毒を吐いて去っていく。

 はあ……と思いながら、見送った。