「郵便局にお使いに行きましたよ」
と葉子がすぐに答えてしまう。
使いに出した場所は伏せておこうと思っていたのに。
あの郵便局への行くのに横切る広い駐車場で、蓮と渚が出会ったと知っている。
なんとなくあそこで二人を会わせたくなかった。
渚が窓越しにそちらを窺ったので、
「煙草ならさっき吸いに出られましたよね」
と先にぴしゃりと言う。
わかってる……と多少渋い顔をして渚は言い、社長室に引っ込んだ。
煙草もやめた方がいいのだが、渚にとって、それだけが息抜きの時間だと知っているから、止められなかったのだが。
もう、蓮で充分息抜きになっているから、いいんじゃないだろうか、と秘書の自分は思っている。
渚も学生時代は、もっと表情にも感情にも起伏があった気がするのだが、社長業についてから、それが少なくなっていた。
だが、此処へ来て、蓮の出現で昔の渚に戻ってきている気がしていた。
それを友人の自分は喜んでいる。
なのに……。
渚の去年の式典でのスピーチ原稿を確認していた手がいつの間にか止まっていた。
と葉子がすぐに答えてしまう。
使いに出した場所は伏せておこうと思っていたのに。
あの郵便局への行くのに横切る広い駐車場で、蓮と渚が出会ったと知っている。
なんとなくあそこで二人を会わせたくなかった。
渚が窓越しにそちらを窺ったので、
「煙草ならさっき吸いに出られましたよね」
と先にぴしゃりと言う。
わかってる……と多少渋い顔をして渚は言い、社長室に引っ込んだ。
煙草もやめた方がいいのだが、渚にとって、それだけが息抜きの時間だと知っているから、止められなかったのだが。
もう、蓮で充分息抜きになっているから、いいんじゃないだろうか、と秘書の自分は思っている。
渚も学生時代は、もっと表情にも感情にも起伏があった気がするのだが、社長業についてから、それが少なくなっていた。
だが、此処へ来て、蓮の出現で昔の渚に戻ってきている気がしていた。
それを友人の自分は喜んでいる。
なのに……。
渚の去年の式典でのスピーチ原稿を確認していた手がいつの間にか止まっていた。



