派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「でも、ほんと、社長の新しい一面も見られて、楽しいわ。

 脇田さんは昔からのお友達だからそんなこともないでしょうけど」
と言う葉子に渋い顔をし、脇田は、

「いや……僕も結構びっくりなことが多いよ」
と言い出した。

 そのとき、社長室の扉が開き、
「蓮」
と手招きしてくる。

「はい」
と立ち上がったが、かしこまらなくても、昼休みだったな、と思い、

「貴方もこっちで一緒に食べたらどうですか?」
と言ってみたのだが、

「仕事しながら食べてる」
 ちょっと来い、と言う。

 相変わらず、強引だな、と思いながら、溜息をついたが、ちょうど食べ終わったところだったので、素直について行った。

 扉を閉めながら、
「仕事しながらとか、消化に悪いですよ」
と言うと、

「ほんとに悪いと思うか」
とデスクの上を片付けながら、渚が言ってくる。

 食べ終わったカツサンドの包みをゴミ箱に捨ててやりながら、
「いや、昔からそう言うから、言ってみただけです。
 本当に悪いかどうかは知りませんが、貴方は少し休んだ方がいいですよ。

 仕事の効率が悪くなると思います」
と言うと、そうだな、と言う。