そしてそして、静かな森の中を歩く事約1時間。




いっこうに学園のような建物が見えない。




それどころか辺りを見回しても目の前の道路と、木、木、木ばっか。




車なんてこれっぽっちも通らない。




たまにカラスがオレの頭上を通り過ぎるだけ。




カォーカォーと鳴きながら…




そんな癖のある鳴き声をアホーバカーと聞こえるのは俺だけだろうか。




まるでバスを選ばなかったオレがバカって言われているみたいじゃんか。




「疲れた〜…」




それにしてもなんで、オレはあの時バスを待たなかったんだろう。と、今さら後悔してももう遅い。




運転手さんが注意してくれたのにーーー!




オレのバカッーー!




ってカラスの言う通りじゃん。




そうだよ。オレはバカでアホでおたんこナスだよ。シクシクッ




あぁ、運転手さんがこいしくなってきた…シクシクッ




黒いキャリーバッグをガラゴロと引きながら歩く。




その上、坂道だから登山よりえらい、と思う。




額から汗が浮き出てきてポタリと雫になって落ちる…それを前髪が吸い取るからもうベチャベチしてペタペタ額に張り付く。




ああ!もうっ!うっとおしいわっ!




前髪をワイルドにグワッとかきあげる。




なぜ、キャリーバッグを引きながら坂道を歩いているのか。




それは、中3の秋にもどる。