できるならこのまま体育館へ戻りたい。


音の正体を探るのは辻本先生と一緒がいい。


そんな風に思う。


だけど前を歩く森本先生は歩みを進める。


職員室に近づくにつれてどんどん物音は大きくなっていく。


森本先生の手が職員室のドアに触れて、あたしは唾を飲み込んだ。


「誰!?」


森本先生が相手を威嚇するように大きな声を上げ、同時にドアを開けた。


瞬間「わっ!?」という声が聞こえてきて誰かがお尻からこけるのが見えた。


「福田先生!?」


森本先生が驚いた声を上げる。


「え? 福田先生?」


森本先生の後ろからその人物を確認すると、国語を教えている福田和(フクダ カズ)先生の姿があった。


福田先生は驚いてこけたまま、瞬きを繰り返してこちらを見ている。


「も、森本先生もいらしたんですね?」


40代後輩で中年太りが始まっている福田先生は、どうにか起き上がってそう言った。


「はい。辻本先生もいます。福田先生はどうしてここに……?」