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保健室を後にした森本先生は、ある仮説を立てていた。


ウイルスに感染した生徒が殺害願望を持った時、その目は赤色に変化するのではないか。


体内でどんな事が起こっているのかわからないが、保健室にいた生徒の目は全員赤くなっていた。


そして死んでいった形状を確認してみると、どうやら保健室の中で殴る蹴ると言った殺し合いがあったのではないかと推測できたのだ。


残る10人がどこに行ったのかわからないが、発症していなければ自力で逃げ出したのだろう。


「もし、残りの生徒たちも感染していたら?」


歩きながら、あたしは森本先生に聞いた。


「……いち早く見つけないと、大変なことになるわね。どこかで自殺していれば、ウイルスは学校中に広まってしまう」


その言葉にあたしはバッドを強く握りしめた。


もしかしたらあたしはもう感染してしまっているんじゃないか?


そんな不安が胸の中に膨らんでいく。


「大丈夫よ。愛莉ちゃんはまだ初期症状もでてないんだから」


あたしの不安を察したように森本先生はそう言ってくれた。


そう言えば、D組のおさげの子は駅の中でうずくまっていたっけ。


あれが初期症状なら、風邪のような病状がでるのかもしれない。


今のところそんな症状はあたしにはない。