そして、あたしたちは保健室までやってきた。


その瞬間嫌な予感が胸をよぎった。


生徒たちを拘束した後、ドアはしっかりしめてきたはずだ。


それが今は開いている。


誰かが保健室を開けたか、もしくは中にいた生徒たちがロープを引きちぎって外へ出たか……。


そう思い、身震いをした。


「愛莉ちゃん、大丈夫?」


保健室に近づくにつれて歩みが遅くなるあたしを見て、森本先生がそう聞いて来た。


「だ、大丈夫です」


あたしは慌ててそう返事をした。


本当はすごく怖くて心臓はバクバク音を立てているが、森本先生が襲われるかもしれないのだ。


怯えている場合ではない。


「保健室の外で待っていてもいいのよ?」


「本当に大丈夫です!」


あたしはそう言い、強く頷いた。


森本先生はそんなあたしを見て少しだけ表情を緩めた。


「そう。じゃぁ行きましょう」


そう言い、森本先生は保健室へと足を踏み入れたのだった……。