「なんだって、なにがだ?」


辻本先生がアラタ先輩に聞き返す。


「この状況に決まってんだろ? どうせ学校側の演出なんだろ?」


アラタ先輩はそう言い、周囲を見回した。


その発言にあたしと空音は目を見交わせた。


アラタ先輩は職員室の様子を見ていないのかもしれない。


あんな悲惨な事になっていると知っていれば、この状況を演出だなんて思わない。


でも……なにも知らないアラタ先輩にそれを伝えたら一体どうなるだろうか?


余計パニック状態になり、手に負えなくなるかもしれない。


辻本先生もきっとそう考えているのだろう、どう返事をしていいのかわからず黙り込んでしまった。