あたしたちは手分けをして文芸部の生徒たちを拘束していった。


生徒たちは狭い保健室にすし詰め状態だが、文句1つ言わなかった。


自分たちの運命を受け入れて、ここで死ぬ覚悟をしている顔だ。


本を沢山読めばその分世界は広がって行く。


彼らは今までに何百、何千と言う世界をその目で見てきたのだろう。


その中には報われない運命をたどる主人公もいただろう。


だからこそ彼らは普段から悔いのないように生きて来たのかもしれない。


「これで僕たちがここで自殺することはない。感染は防がれるはずです。だけど殺害願望まで至った時が問題です。


僕の考えによれば殺害願望が出て来た人間は人並み外れた力を発揮します。その時に先生たちが勝てるかどうかです」


「ちょっと待ってよ勝てるかどうかって、それって……」


空音が言う。


「僕たちを殺してください。昔流行った感染病も感染者を皆殺しにして収束しています」


彼は静かな声でそういったのだった……。