そう考えて、ゾクリと背筋が寒くなった。


本当にそんなことはあり得るんだろうか?


あたしたちの年代に流行する殺人ウイルスなんて、そんなものが……。


「だから校長は逃げたのね」


本を読み終えて、森本先生がそう言った。


拳を握りしめて怒りに震えているのがわかった。


「で、でも、生徒たちにかかるウイルスなら先生たちがここに閉じ込められた理由がわかりません」


話を聞いていた空音がそう言った。


少しでも今の最悪な可能性を消し去ってしまいたいのだろう。


しかし、辻本先生は左右に首を振った。


「いや、俺たちはきっと生贄だ」


「生贄……?」


あたしは顔をしかめて先生を見た。


「あぁ。ウイルスは人を殺さないと消えない。そのためには生徒の犠牲になる人間が必要なんだ」


辻本先生はそう言い、大きく息を吐き出した。


自分たちが生贄として校内に残されたと言う事実が、重たくのしかかって来る。


「ね、ねぇ、あたしたちは大丈夫だよね?」


近くに座っていた女子生徒が不安そうな表情でそう言った。


「そうだよ。もしかしたらもう感染しちゃってるかもしれないんだよね?」


他の子もそんな声を上げる。