学校内を歩いているとあちこちから生徒の声が聞こえて来た。


それは泣き声だったり、叫び声だったり、怒鳴り声だったり。


ついさっきまで楽しそうな笑い声が聞こえて来た校内は、すっかりその色を失っていた。


生徒の中には職員室の様子を見てしまった子もいるだろう。


1年の玄関にいた15人ほどが図書室へと入って行く。


広いスペースだからまだまだ余裕はありそうだ。


あたしは大きめの椅子に座り、その隣に空音が座った。


辻本先生は椅子には座らず医学書の並んでいる棚へと歩いて行った。


「こんな時に読書でもするのかな?」


その様子を見て空音がそう呟いた。


「そんな事ないと思うよ? なにか手掛かりになりそうな本があるのかもしれないじゃん」


あたしはそう返事をした。


森本先生は辻本先生に何かを言われて、歴史書の棚へと向かっていく。


やっぱり、何かを探しているようだ。


他の生徒たちは椅子やソファに座り、静まり返っている。


予期せぬ事態に思考回路がついていっていないのか、キョロキョロと周囲を見回して落ち着かない様子だ。


あたしだってそうだ。