「あたしだってビックリしたよ。渋田さんって明るくてみんなから好かれるタイプの子だったじゃん? 


自殺する原因なんてないように見えるもん」


空音の言葉にあたしはうんうん、と何度も相槌を打った。


渋田さんとは高校に入学してから知り合った。


クラスも違うし接点も少なかったけれど、新しい学校生活でまだ宙に浮いているような感覚の時、積極的にいろんな生徒に声をかけて、みんなを安心させてくれていた。


渋田さん自身が学校生活が不安だったから、みんなもきっと不安なんじゃないかと思って、明るく声をかけることにした。


渋田さんはそう言って照れたように笑っていたけれど、それがキッカケでD組の生徒たちとも仲良くなれたのだ。


渋田さんは嫌われるような性格ではないし、誰かをイジメるようなタイプでもない。


自殺という言葉から一番遠い存在だと思っていた。


「ショックだよね……」


まだ信じられないあたしは、そんな言葉しか出て来なかったのだった。