一体保健室からどこへ行ってしまったんだろう?


そう思ったときだった。


校舎の外を慌てた様子で走って行く数人の先生の姿を見つけた。


その中には校長先生の姿もある。


「なにかあったのかな?」


先生たちが走っていく様子を見ていた空音が言う。


「わかんない。もしかして保健室からいなくなった生徒たちのことでなにかあったのかも」


あたしは早口でそう言うと、生徒玄関のドアへと近づいた。


全体がガラス張りになっていて、近づくと自分の姿がうつる。


登下校の時間はいつも開いているのに、なんで今日は閉められているんだろう?


そう思いながら取っ手に手をかける……が、そのドアはびくともしないのだ。


「あれ? なんで?」


思わずそんな声が漏れた。


「なに? どうしたの?」


空音があたしの隣に立ち、様子を見て来る。


「ドアが開かないんだけど」


「えぇ? 嘘でしょ?」


空音があたしに変わって取っ手に手をかけた。


しかし、ビクともしない。


「ちょっと、なんで鍵がかかってるの?」


隣のドアを確認してみるが、やはり鍵がかけられているのがわかった。