森本先生から話を聞いていると、生徒たちの学年やクラスはバラバラなのだとわかった。


共通点は渋田さんの自殺を見ていた生徒ということだけ。


それだけの共通点でこんな奇妙なことが起こるとは思えなくて、あたしは首を傾げた。


「みんな、まだ校内にいるのかな?」


空音が呟くように言った。


「わかんない。とにかく下駄箱を確認してみようか」


あたしはそう返事をして1年D組の下駄箱へと向かう。


おさげの彼女の顔を思い出しながら下駄箱を確認すると、D組の生徒はほぼ全員校内にいることがわかった。


「まだほとんど帰ってないんだね」


「ほんとだね。今日は終礼がなくて校内放送だったから、みんな帰るタイミングがなかったのかもね」


校舎内ではまだ生徒たちの話し声が聞こえてきているし、まだまだ残っている生徒は多そうだ。


隣のC組の下駄箱を確認してみたが、やはり同じようなものだった。


あたしたちB組の生徒も大半が残っているようだ。


「靴は残ってるみたいね……」


少し顔色が戻り始めた森本先生がそう言った。


「そうなんですか? じゃぁ、みんなまだ校内にいるんですね」