彼らは無事に家に帰る事ができたんだろうか?


もしかしたら親に電話して迎えに来てもらったのかもしれない。


それならそれでいいと思う。


でも……。


あたしの右手がドアに触れていた。


開ける気なんてなかったけれど、どうしても中の様子が気になった。


森本先生がいないなら保健室は鍵がかけられているはずだ。


そう思ったのに……ドアはスッと開いたのだ。


驚いてあたしは空音を見た。


空音は少し不安そうな表情を浮かべている。


「森本先生、いますか?」


あたしはそう声をかけながらドアを大きく開いた。


保健室の中は電気が消されていて薄暗く、人の気配も感じられなかった。


あたしは入って左手にあるスイッチを押して電気をつけた。


保健室の中はパッと明るくなり、同時に床に散乱しているロープが見えた。


4つあるベッドのカーテンはすべて開け放たれていて、シーツは乱れている。


その中に森本先生の姿も生徒の姿もなかった。