灰色の校舎はどこもシャッターで閉ざされていれ、やっぱり異様な光景だ。


それなのに、助けはこなかった。


今度はその事実を受け止めることはできるだろうかが不安だった。


みんなが自分たちの事を見捨てたんだ。


そんな街で暮らしていく事なんて、もうできない。


校門の前まで来た時だった。


ふいに誰かが走って来るのが見えて、あたしと空音は立ち止まった。


「あれって……校長?」


空音が言う。


よく見れば、確かに見慣れた校長のように見えた。


何か言いながら走ってくる。


あたしと空音はきつく手を握り合った。


元はと言えば、あいつのせいだ。


全部、あの男が仕組んだことだ。


ゴールデンウィーク中にシャッターを改装し、あたしたちと閉じ込めた!


体の芯から怒りがわいてくるのを感じる。


殺してやりたい。


その感情が膨らんでいく。


しかし、校長が近づけば近づくにつれて、それは違和感へと変わって行った。


校長の後ろに何十人、いいや、何百人の人間が付いてくるのだ。