シャッターの隙間から体を滑らせるようにして外へ出た。


青い空に一瞬目がくらむ。


「やっと……出られたね……」


空音が空気をいっぱいに吸い込んでそう言った。


「うん……」


あたしも思いっきり空気を吸い込む。


血生臭さのない綺麗な空気にホッとして思わず笑顔が浮かんだ。


「あたしたちがやらなきゃいけないことは、まだまだあるよ」


あたしは気を取り直してそう言った。


辻本先生の遺体をそのまま置いて来てしまった事は残念だけれど、証拠として動かす事はできなかった。


大好きだった人の死を目の当たりにして祐矢先輩は自分の死を選んだけれど、あたしは違う。


好きな人のためにも生きて行こう。


今は、そう思えていた。


空音と2人で手を握り合い、校門へと歩いて行く。