ペタッと音がしてあたしは自分の足元へと視線を移動させた。


みると、シューズで血を踏んでしまったそうだ。


足を上げてそれを確認してみると、まだサラッとしている綺麗な血であることがわかった。


今まで見てきたような、ネットリとしてどす黒い血ではない。


「これって……」


あたしはそう呟き、サッと青ざめる。


「いやだ、うそでしょ……?」


空音も感づいたのか、そう言って左右に首を振った。


今流れたばかりに見える血は、点々と落ちて保健室へと向かっているのがわかった。


あたしと空音はその血に引き寄せられるように歩き出す。


この保健室の中には沢山の死体がある。


その覚悟をしてドアを開いた……。


「先生……?」


ドアの向こう側には死体が山積みになっていた。


文芸部の10人に、ウイルス感染者を暴行しようとした男子生徒。


そして岡崎君の死体。


それから……辻本先生がうつ伏せになって倒れているのが見えて、あたしは弾かれたように駆け寄った。


「辻本先生!?」


そう言い、体を抱きしめる。


辻本先生は意識がなく、手が垂れ下がって状態だ。


「田井先生!」


空音がそう言い、ベッドに駆け寄った。


ベッドの上には田井先生。


それ下の狭いスペースには森本先生がいる。


が、全員意識がない状態だ。


「なんで?」


混乱し、状況がわからない。