「妹尾祐矢と山本アラタ。あの2人の体にも抗体がありました」


「どうしてそんなことを知っているんですか?」


森本先生が聞く。


「実は……ゴールデンウィークに入る前、海外でウイルスが発見されたお言うニュースを見たんです。その後すぐに第一の自殺者である渋田咲が海外へ旅行をすることを聞きました。


俺は万が一に備えて、ウイルスについて少し調べていたんです。すると、ネット上ではそのウイルスの抗体と言うものが売られていたんです」


静かに説明を始める辻本先生に、あたしは何も言えなかった。


「ネットで抗体が売られるなんてこと、ありません。あったとすれば、それは偽物か闇サイトでの売買じゃないんですか?」


そう言ったのは森本先生だった。


「……森本先生の言う通りです。薬品を高額な金額で売買する闇サイトで見つけたんです。効果がある保障はなかったし、偽物を送られてくる可能性も考えました。


そもそも渋田がウイルスに感染して帰るとも思っていませんでした。だけど……万が一の事を考えて、購入してしまったんです」


申し訳なさそうに頭を垂れる辻本先生。


「ま、待ってください! 自分に抗体があるなんてあたし自分でも知りませんよ!?」


あたしはそう言った。


「あ、あたしもです」


空音も賛同してくれる。