「な、なんですか……?」


辻本先生は必死に平静を装おうとしているけれど、その額には汗が滲んでいた。


暑さのせいだけじゃないみたいだ。


「辻本先生は何を隠しているんですか?」


「か、隠してなんか……」


「答えなさい!」


辻本先生が最後まで言う前に田井先生はそう怒鳴っていた。


その声にビクッと体を震わせる辻本先生。


「辻本先生、生き残りはあたしたちしかいないんです。なにがあったのか、教えてください」


森本先生が言う。


辻本先生は森本先生を見て、泣きだしてしまいそうな顔になった。


2人の先生に詰め寄られて、逃げ道はどこにもない。


辻本先生は観念したように、大きなため息を吐き出してその場に座った。


「2人の体には、抗体があります」


小さな声でそう言う辻本先生。


「え……?」


あたしは驚いて目を見開き、空音を見た。


空音も驚いていて「どういうこと?」と、首を傾げている。