「祐矢先輩が自殺なんて……」


生徒会議室から出たあたしはそう呟いた。


一番冷静で、学校内で起こっていることを記録していた祐矢先輩。


そんな祐矢先輩が自殺するなんて、考えてもいないことだった。


「自殺していた生徒の中に神田リナがいたからだろうな」


辻本先生が静かな声でそう言った。


「え?」


あたしは聞き返す。


聞いたことのない生徒の名前だ。


「神田リナを一言でいえば才色兼備だ。誰からも好かれるような生徒で、妹尾神田リナを好きだった生徒の1人だった」


「じゃぁ、祐矢先輩は神田さんの後を追って……?」


空音が聞く。


「おそらくは、そうだろうな」


辻本先生は頷いた。


もし辻本先生が死んでしまったら?


そんなこと想像するだけで嫌だったけれど、そう考えると祐矢先輩の気持ちは痛いほどよくわかった。