☆☆☆

それからあたしたち5人は食料を持ち、音楽室を出た。


廊下にはアラタ先輩の死体が転がったままだけれど、教室内に運んでいる暇はなかった。


「一旦放送室に隠れるのはどうかしら?」


田井先生が先頭を歩きながらそう言った。


「放送室ですか?」


森本先生がそう聞く。


「えぇ。生きている生徒がいるかどうか、放送で呼び掛けてみるんです」


「そんなことしたら、感染している生徒まで呼ぶことになりませんか?」


辻本先生がそう言った。


「それはわかりません。やってみないことには……」


感染者が放送に反応を示すかどうか、一か八かの賭けみたいだ。


だけど、うまく行けば生存者と合流することができる。


「やってみましょうよ」


あたしは先生へ向けてそう言ったのだった。