どこくらい生存者が残っていて、その内どのくらいが感染者なのかわからない。


体育館内ですでに感染した生徒がいたとすれば、その生徒が発症していてもおかしくない。


「でも、ここでボーっと待ってるなんてできないよ!」


何かしていないと落ち着かないのか、空音は叫ぶようにそう言った。


空音の気持ちが理解できないわけじゃなかった。


ただ、男性という戦力が辻本先生1人しかいない状況で動き回るのは危険だった。


「……行きましょうか」


そう言ったのは田井先生だった。


「田井先生?」


あたしは驚いて田井先生へ視線を向けた。


「ここでボーっとしていても、問題は解決しないわね。それなら少しでも動いて、仲間を見つけた方がいいかもしれないものね」


「本気ですか?」


辻本先生がそう聞いた。


「えぇ。この子の希望を聞いてあげましょう」


田井先輩はそう言い、空音の頭をポンッと撫でたのだった。