「愛莉……」


空音があたしの手を握りしめた。


あたしは空音の手を握り返す。


「そうだったのか……」


辻本先生はそう言うが、驚いている様子はなかった。


もう気が付かれていたみたいだ。


こんな状況になってからも、辻本先生と離れたくなくて一緒にいたから、当然のことかもしれない。


かわりに、反応を示したのは森本先生の方だった。


あからさまにあたしから視線を外し、居心地が悪そうに体勢を直す。


「わかってますから、大丈夫ですよ」


あたしは森本先生へ向けてそう言った。


「え、わかってるって?」


動揺し、声が裏返っている。


「森本先生と辻本先生はとってもお似合いですよ」


そう言うと、森本先生の顔が一気に赤く染まった。


恋を知ったばかりの小学生のような反応に、思わず笑ってしまう。


「……ありがとう」


森本先生は真っ赤になりながらも、どうにかそう言った。