「わからない」


あたしは左右に首をふってそう返事をした。


しかし次の瞬間、森本先生が動いていた。


アラタ先輩に駆け寄り、フラフラと歩くその体を支える。


アラタ先輩はその場に力なく座り込んだ。


「こいつ、大麻までやってたのか」


祐矢先輩ホコリをはらいながら立ち上がり、そう言った。


「大麻!?」


あたしは驚いて目を見開いた。


「どこかに隠し持っていたのね」


森本先生がそう言い、アラタ先輩に水を飲ませようとしている。


しかし、アラタ先輩はそれを拒否している。


「そこまでバカだとは思わなかった」


祐矢先輩はため息交じりにそう呟いた。


あたしはこの学校内で大麻を所持している人間がいると言う事に、一番の驚きを感じていた。


薬物なんてテレビの世界だけで、現実世界の、こんなに身近にあるなんて思ってもいなかったことだ。


森本先生はアラタ先輩の脈拍を図っている。