あたしたちは静かな時間を過ごしていた。


時々水を飲んだり飴をなめたりする以外には、ほとんど動く事もなかった。


祐矢先輩の推理は、死ぬ時期が早まった事を考えざるを得ないものだった。


拘束していた生徒は自力でロープを千切って逃げた。


それは、もうすでに他殺願望へと切り替わっていることを意味していた。


「ここでボーっとしていても死ぬだけなんだろうな」


ぼんやりと天井を見上げていたアラタ先輩がそう呟いた。


「そうとは限らない。助けが来るかもしれないだろ」


辻本先生がどうにかそう言った。


「助けなんて、どこに来るんだよ。外からは何も聞こえて来ねぇじゃねぇか。どうせ俺たちは見捨てられたんだ」


「そんな事はない!」


辻本先生がそういうが、アラタ先輩は鼻でフンッと笑っただけだった。


あたしはそれを止める事すらできなかった。


無気力で、なんだかなにもかもがどうでもよかった。


トイレに立つ事さえ億劫で、このまま床に溶けて死んでしまえたら楽なのにと思ってしまう。