「そうよ。特に年頃の女の子は無茶なダイエットをしたり、朝食を抜いたりするでしょ?


そういう時に、体が甘い物を欲しがるようになるのよ。だから自分の体を守るために、無意識に摂取したりするのよ」


そうだったんだ。


あたしはようやく納得できた気分だった。


「なるほど、栄養の偏りを糖質で補ってるってことか」


祐矢先輩はそう言い、人を馬鹿にしたようにフンッと鼻を鳴らして笑った。


頭のいい祐矢先輩からすれば、ダイエットなんてバカバカしいみたいだ。


だけど、そのおかげで今こうして飴にありつく事ができているんだ。


思いがけないところで女子生徒たちのダイエットが役立っている、と言う事になる。


「食料を体育館から移動させないといけませんね」


田井先生がそう言い、辻本先生へ視線を向けた。


「そうですね。今日中にはどうにかしましょう」


辻本先生はそう返事をしながらも、どこか上の空だ。


なにか別の事を考えているように見える。


「また体育館に戻るんですか?」


空音がそう聞いた。


「あぁ。食料を運んでくるだけだから、すぐだ」


辻本先生はそう言って笑顔を浮かべた。