空音が持っていたバッドを振り上げる。


岡崎君が咄嗟に身を守ろうとするが、遅かった。


空音が振り下ろしたバッドは岡崎君の頭部にぶつかり、鈍い音を立てた。


あたしは悲鳴を上げ空音の後ろへと回った。


空音は何度も何度もバッドを振り下ろす。


顔を集中的に狙っているようで、岡崎君はくぐもった声で唸り声を上げた。


しかし、それももう声にならない。


それでも空音は手を止めなかった。


まるで目の前にいる獲物をしとめようとしているハイエナのように、岡崎君を攻撃する。


しばらくすると岡崎君は唸り声をやめ、ピクリとも動かなくなっていた。


「空音、死んじゃうよ!」


岡崎君の様子を見てあたしは慌ててそう言った。


しかし空音は「わかってる」そう言ったのだ。


声は震えていたけれど。その目はしっかりと岡崎君を睨み付けている。


「え……?」


あたしがそう呟いた次の瞬間、空音は最後の一撃を岡崎君へ加えたのだった……。