あたしは空音の言葉に首を傾げた。


「そうだよ。食堂でパンを見つけた時だって先にあたしにくれたじゃん」


「あぁ……空音は親友だから」


あたしはそう返事をしたけれど、褒められたことが嬉しくてほほ笑んだ。


「自分だってお腹ペコペコだったのに?」


空音は更に茶化すようにそう言って来た。


「もう、やめてよ」


あたしは頬を赤らめて空音の話を止めた。


その時だった。


突然低いうなり声のようなものが聞こえてきてあたしたちは会話を止めた。


一瞬体育館の外から聞こえてきているのかと思ったが、よく聞いてみるとそれは体育館の中から聞こえてきていた。


みんなの視線が1人の男子生徒へと向けられる。


それは、福田先生を殺したあの生徒だった。


男子生徒は膝を抱えてうずくまったまま、低いうなり声を上げている。


その様子にあたしはすぐにバッドを握りしめていた。


「どうしたんだろう」


空音が戸惑いながらも、スタンガンを取り出した。