「そんな事を言えば無駄に周りを混乱させるだけじゃねぇか。感染している人間も生きている人間も信用できない。そんな事になったら、この学校からは秩序がなくなる」


アラタ先輩の言葉にあたしは感心してしまった。


そんなことまでちゃんと考えていたなんて、思いもしなかったから。


「それなのにお前1人で体育館から出て行くから、焦っただろうが」


怒ったようにそう言われて、あたしは思わず身を小さくした。


「ご、ごめんなさい……」


「まぁ、何事もなく薬を手に入れられたんだからいいけどな。早く戻るぞ」


アラタ先輩はそう言い、薬の入った重たい袋を軽々と持ち上げて保健室を出たのだった。