アラタ先輩や辻本先生が引き止める声も聞かず、あたしは1人で保健室を出た。


さっきは空音も一緒にいたからまだ心強かったけれど、今は1人ということで足がすくむ。


一旦立ち止まり、大きく息を吸い込んだ。


大丈夫。


きっと、大丈夫だ。


自分自身にそう言い聞かせ、バッドを構えてゆっくりと歩き出す。


2階へと続く階段を下りて行くと、自分の足音がやけに大きく響いて聞こえた。


保健室へ行って、そこに置いてある薬品を取って来る。


たったそれだけのことが、ものすごく大きなミッションのようにのしかかってきている。


2階へ下りて、渡り廊下を歩く。


シャッターは相変わらず閉められていて、外からの音も聞こえてこない。


本当に誰もあたし達の事なんて探していないのではないか?


そんな気になってくる。


外の世界は今どうなっているんだろう?


自分たちを覗いて、平穏な日常が広がっているかもしれないと思うと、胸がギュッと締め付けられるような思いだった。


渡り廊下を渡り切り、また階段を下りて行く。


今の所校内で物音は聞こえない。


みんなどこへ行ったんだろう?


もしかしたら、もう死んじゃったのかな?


そう考えて、強く首を振った。


1人だと、どうしてよくない方向に物事を考えてしまう。