そう思っていると、辻本先生が小さくため息を吐き出した。


「……仕方がない。俺が行ってくる」


そして、そう言ってくれたのだ。


一瞬嬉しくてほほ笑んだ。


しかし、すぐに辻本先生の手についている血を思い出して、あたしの笑みは消えて行った。


「それなら俺も」


アラタ先輩が名乗りでる。


あたしはアラタ先輩のポケットに入れられている金槌に視線を向けた。


ダメだ。


この2人はとても信用できない。


保健室へ行ってもちゃんと薬品を取ってきてくれるとも限らない。


「おい、やめとけよ」


祐矢先輩がしかめっ面をしてそう言ってきた。


一番真面目な祐矢先輩が2人を止めるということは、避けに信用ができなかった。


「……あたし、1人で行く」


あたしはそう言い、バッドを強く握り直したのだった。