「もしかして、発症して誰かを殺そうとして返り討ちになったのかな?」


あたしはそう呟いた。


それにしてもひどい。


すぐに殺さず壁に固定して弄んでから殺したんだ。


その有様が浮かんできてひどい吐き気に襲われた。


「シャッターについていた手形の人間がここまで逃げてきて、殺したのかもしれないね。でもこれじゃ、感染してない人間の方が怖いよ!」


空音が叫ぶ。


その声は怒りと悲しみで震えていた。


「感染者は人間じゃない。きっとそんな考え方のヤツがいるんだよ」


あたしは女子生徒の死体に近づき、手に打たれている釘を力付くで外した。


途端にその場にダラリと倒れ込む女子生徒。


あたしは女子生徒の服の乱れを直すと、その目を閉じてハンカチで顔を隠した。


この生徒の魂が少しでも安らかな眠りにつけますように。


そう、願って……。