アラタ先輩は食料を持って逃げた2人を探しに行ったのかもしれない。


「全く、あいつらは……」


辻本先生がため息交じりに呟いて立ち上がる。


2人を追いかけるつもりなのだろう。


「先生、あたしもついて行きます」


あたしは咄嗟にそう言っていた。


少しでも長く辻本先生と一緒にいたい。


昨日からそんな気持ちが強かった。


「お前はなんでもかんでも首を突っ込みすぎだぞ? 少しは大人しくしておけ」


辻本先生はそう言い、あたしの頭をポンッと撫でた。


大きな手に一瞬心臓がドクンッと跳ねる。


こんな状況だけれど嬉しいと感じてしまった。


「そうだよ愛莉。あたしたちだって危険な状態なんだからね?」


空音にまでそんな事を言われたら、『ついて行きたい』とは言えなくなってしまった。