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先生たちが体育館を出てから15分ほど経過していた。


しっかりとドアを閉めていかれたので外の様子はわからない。


声も聞こえてこないし、不安だけが募って行く。


「先生たち、大丈夫だよね?」


あたしと背中合わせになるように座っていた空音がそう聞いて来た。


「大丈夫だよ! 辻本先生と福田先生は男の人だし、体格もいいもん」


あたしは明るい口調でそう言った。


ここで不安を仰ぐような事を言えば、体育館の中の秩序がなくなってしまうかもしれない。


できるだけいい方向考えるようにしなくちゃ。


そう思ったときだった。


突然体育館の外から悲鳴のような声が聞こえてきて、あたしは息を飲んだ。


「今の声って……?」


空音があたしの服を掴んでそう聞いて来た。


「わからない……」


そう答えて左右に首を振る。


けれど、今の声は森本先生か、田井先生の声に聞こえた。


「どうする? 行ってみる?」


空音があたしの服を掴んだまま聞いてくる。


できるならすぐに確かめに行きたい、だけどバッドは辻本先生に渡してしまった。