それからあたしと森本先生は保健室の状況を説明した。


説明している間に辻本先生の表情はどんどん険しくなっていく。


「その10人がどこにいるか探さないと危ないな」


そう呟く。


「別館の1階にはいないみたいだったけれど、気配を消して動き回るような事があればわからないわ」


森本先生が言う。


感染した生徒たちがどうやって人を殺すのか。


現場を見た限りでは無理やり暴行を加えているだけに見えるけれど、実は殺すために用意周到なのかもしれない。


それがわからない限り、いつどこで生徒と鉢合わせするかわからなかった。


「もう1度、今度は4人で探してみましょうか」


辻本先生がそう言った。


「あたしも行きたい」


そう言うと、「お前はもう十分頑張っただろ」と言われ、頭をポンポンと撫でられた。


まるで子供扱いで、少しだけ不満に感じられる。


「それならあたしのバッドを持って行ってください」


あたしは枕元に置いたバッドを辻本先生へと手渡した。


「あぁ、サンキュ」


辻本先生がそう言ってあたしからバッドを受け取った、その時だった。


ガラスが割れるような音が体育館の外から聞こえてきて、周囲は静まり返った。


「今の音って……?」