ゴールデンウィークが終わった5月10日。


1人の少女が放課後の学校の屋上にいた。


普段は解放されていない屋上だったが、この日は月一度の清掃が入り、屋上の鍵が開いていた。


校門から外へと吐き出されている生徒たち、しかし校舎内やグラウンドからもまだ元気な声が聞こえて来る。


少女が金網を乗り越えようとしていることを、誰も知らない。


少女が身に付けている紺色の制服のスカートが風になびいた。


少女の目はうつろで、金網の頂上に到達した時も恐怖の色は見られなかった。


それはごく自然に。


まるで少女にとってはそれが日課であるかのように。


少女は身を乗り出し、そして飛び降りた……。