「じゃあ前田さんとこ行って下さいね。私もう帰るので。」



「オッケー。なんか貰えるのかな!ワクワクする!」



そりゃあクッキーでしょ。天然め。


「あ!」



「なんですか?」


歩き出していた足を止める。




「片瀬さん帰るの?じゃあ俺ももう上がる~。一緒に帰ろ!」


「…嫌です。」



後ろを振り返ることなくスタスタ歩き出す。






「ちょっ、片瀬さん待ってよー。」



なんだかんだで高宮さんが追いかけてくれるのがわかっているから。




「早く話し終わらないと本当に帰りますからね。」


「もちろん!だから待っててね!」


「仕方なしに、ですよ。」



「…ツンデレめ。」



「?何か言いました?」


小さすぎて聞こえなかった。




私もなんだかんだて高宮さんを受け入れている自分がいる。

悔しいけど完全に高宮さんを否定し切れない。



「わかってるんだってば。」


これが一体なんなのか。
もう自分ではわかっている。



でもごめん。
私は気付かない振りが得意なんだよね。