猫の湯~きみと離れていなければ~


「……慰められたら俺、ますます惨めになるじゃん? 」

「慰めるつもりなんかないし、惨めだなんて思ってない」


はぐらかそうとする陽向の腕を握りなおすと、わたしはしっかりと陽向の目を見つめた。


本気なんだと伝わってほしい。



「本当は陽向の側にいたかったの。でもそこにわたしの居場所はなくなってて、それを目の当たりにするのが怖かったから陽向を避けていたの」

「それって、…俺に彼女がいるっていう噂のせい? 」

「…うん」


陽向が困ったように聞いてきたので、わたしはうなずいた。


「わたしは強くなんかない。でもこうやって気持ちを話せるようになったのは、わたしのしあわせを願ってくれている陽向のためって思うから」


涙で陽向がにじんでくる。
でも今は目をそらしたくはない。



「だから凰玉を返したの。陽向が願ってくれているから、それだけでわたしの力になる。笑顔になれる。……わたしが陽向の願いを叶えてあげれる」