猫の湯~きみと離れていなければ~


陽向が少し離れてくれたので、わたしは座りなおすことができた。

流はピョンと地面に飛び降りると、リードの許す範囲で散ってくる桜の花びらを追いかけたり、ゴロンゴロンと転がって砂浴びをして楽しんでいる。

わたしの気持ちなんて全然関係なさそうで、うらやましくなる。


わたしは凰玉を手に取るとじっくり眺めた。
咲いているのは間違いなく福寿草。


『雪解けの春を告げ、大切な人のしあわせを思う花』



今なら伝えられるかな……




横をちらっと見ると、陽向は少しはずかしそうに笑っていて、わたしもつられてはにかんでしまう。

わたしがこの花を贈られた意味を知っていることに気づいているのかもしれない。