猫の湯~きみと離れていなければ~


耐えきれなくなって、わたしは顔を背けてしまった。


「鈴、そのまま動かないで」

「…? 」

「いいから」


陽向はそう言うと、戸惑うわたしの首に手をまわしてペンダントをかけた。


胸元で赤く輝いているペンダントトップは、福寿草が咲いている陽向の凰玉。


「どうして? どうして陽向が持ってるの? 」


振り返えると、陽向の顔が近くにありすぎて、頬がかすかに触れた。


「ごめんっ」


思わずあやまってしまったけれど、何にあやまったのか自分でも分からない。

なんでそんなに近くに座っているの?

心臓の音が陽向に聞こえてしまうんじゃないかって心配になってくる。


子供のときはよくくっついてテレビも絵本も一緒に見てたのに、なんでこんなに意識してしまうんだろう。



でも今は、とにかく立ち上がって逃げだしたい気分。

だけど、膝の上の流はそんなことを気にもしてないようで、優雅に毛繕いをしているし。