「長さんに猫の湯に連れていってもらったんだろ? みんな元気にしてるのか? 」
「うん。写真あるけど、みる? 」
わたしがスマホを開くと、食いつくように覗いてくる陽向。
「倫はちっとも変わってないけど、宮ちゃん大きくなってるし」
名前をおぼえているなんて。
疑ってはいないけれど、陽向も本当に行ってたんだね。
「うっわ、これ女将の遇だろ? 怒るとすっげー怖いんだよな。火を吐き出しながら追いかけてきたときはまじでヤバイと思ったし」
…火を吐き出させるほどって、陽向は一体なにをしてそこまで怒らせたわけ?
「あ、あいつらは元気にしてた? 龍宮城の黒猫三兄弟」
「ブラックシャーク?」
その名を聞いて陽向が大笑いしはじめた。
「まじか? あいつら本当にその名前にしてたのか? 」
「すっごく気に入ってたよ。なんでシャークか分からないけれど…、あっ! 」
あの頃の陽向ってばアニメの“海賊シャーク”にすごく憧れてたよね?
……まさか
「俺が名付けた」
そう言うと、陽向は自慢気に大笑いしはじめた。
名付け親がこんなにバカ笑いしてるなんて知ったらあの子たち…。
どこかで聞いてないよね?
また偵察に来ていないかと辺りを見渡したけれど、カラスの姿はどこにもなかった。



