「…………………」

母さんの言葉に声を失った俺。


“「美星(みほし=紫音ママ)を失った時のしーちゃん(=紫音)かと思ったわ。一瞬だったけど……」”


頭の中にこだまして響くそれが、自分の杞憂を現実のものとして突き付けた。

昼間にしていた話を早急にするべきだと判断した俺は、すぐに煌暉へと電話をかけた。

理由はそっちのけで、要求だけを述べて切った電話。

こんな時にまで煌暉を試す自分に嫌気がさしたけど、中途半端な状態のあいつのままでは任すつもりはない。

紫音と向き合うためには偽りのあいつはいらない。

そうじゃないと紫音には届かない。

だからこそ、あいつにも本当の自分で会って欲しいから……
やっと決心がついた今の煌暉なら大丈夫だ。



間に合ってくれ。



やっと光を受け入れて、溶け始めたものがまた凍ってしまう前に……

そうじゃないと、もう、誰にも届かないかもしれない。


二度と光を望まなくなる前に………どうか………