煌暉には言えなかった紫音との電話越しに感じた違和感。

煌暉に対して誤解してるとはいえ、それを語った時の様子が気になる。
煌暉のことが好きなはずなのに、別段悲しむ様子もなく、やけに冷静な口調で紡がれた言葉達。


“一先輩の彼女さんてキレイな人だね。ものすごくお似合いだったよ。
七聖くんにはいないの?また紹介してね。フフッ“


明るくそう言った紫音が、電話の向こうで微笑んでいるのがうかがえるようだった。


"何で嫉妬しない?
二人を見て悲しくなかったのか?
傷つかなかったのか?"


俺は煌暉と別れたあと、朝の電話での紫音を思い出していた。

「何で…………」

確認するように発した自分の声に、ある可能性が脳裏に浮かんだ。


「………まさか、……また凍らせるつもりなのか?」


俺は否定したい思いで、母さんへと電話をかけた。


"今朝紫音と話した母さんも何か感じたかもしれない……
俺の杞憂であって欲しい……"



RRR…………RRRR…………RRRR…………



「母さん!?ちょっと確認したいんだけど……」