そう話す七聖も凄ぇよ。と心の中で敬服する。
彼女のことが本当に大切で、守って来たことが言葉を通して伝わってきた。

でも最後の言葉は聞き捨てならないけどな。

俺は苦笑しながら隣に座る七聖のその器の大きさを感じた。





「あのぉ………二人ですか?よかったら一緒にお話でも………」


俺達の会話が途切れたところで、すかさずかけられた誘い文句。
その声に二人で同時に振り返ると、そこには顔を赤らめた二人組の女がいた。

でも、

「「俺達、“奥さん”いるから」」

同時に出た、しかも同じ台詞。

当然まだそんなことには縁遠い見た目から出た嘘の言葉に、完全拒否の姿勢がうかがえて、二人して吹き出した。

「「ブハッ…同じ思考かよ」」

クククッと肩を震わせて笑い合う。

「「そういうことだから」」
「え?でも……」

俺達の言葉に込められた意味は当然伝わるはずもなく、退かない女達。



“奥さん=(イコール)大切な女(ヒト)”



「「大切なんだよね」」

きっと俺だけでなく、七聖も今、頭に思い描いているのは“彼女の姿”。
そんな俺達の表情はヤバかったのかもしれない。

自分達に向けられたものではないのに、急激に女達の顔がまっ赤に染まり上がった。

「「だからムリだよ」」

これ以上関わる気なんてさらさら無かった俺達は、始めから最後まで丸かぶりの言葉でそう吐き捨てて、前方へその視線を戻した。


"本当に頼りになるヤツ"


「協力しないんじゃなかったっけ?」
「煌暉のためじゃねぇし。俺自身のため。
だからさっき言ったこと忘れんなよ。
お前がやるべきことを“紫音よりも後回し”にするなら、マジで紫音は俺がもらうから」

挑発的な言葉と顔で俺に笑みを向ける七聖を見て、俺はもう一度心に固く誓う。


"こいつには俺がやっと決心したことまでバレてんのか"




「誰にもやらない」




強い意志をもって言った言葉に、クスッと隣でほくそ笑む七聖を感じた。