「七聖の言っていたことが痛いほど身にしみてる」
「俺?」
「超鈍ちゃん……」
「あぁ………昨日も盛大に披露してたよ。
煌暉の周りにはいなかったタイプだろ?だからいいんじゃない。
お前自身を見てくれてるはずだし、そんな紫音に溺れてる煌暉も悪くない」

俺は踏み出せない煌暉の背中を押すつもりで言ったのに、パッと俺を凝視してきて放たれた言葉。


「すげぇ好き。
どこもかしこも、
何もかもが愛しく思える」


"俺に告白してどぅすんだよ………"


俺は呆気に取られながら、

「“花姫の紫音”でそんなんだったら、これからお前身がもたないかもよ?」

想いが通じた煌暉を想像して、ますます紫音に翻弄される姿が手に取るようにわかり苦笑がもれた。



本当の彼女はもっと甘くて可愛い。
それがもうすぐまた見れるのかと思うと他人任せなことに胸は痛んだが、親友ともいえる煌暉の存在に希望が見えて、嬉しさの方がそれに勝った。

だけど焦れったい煌暉にクギを刺すことも俺は忘れなかった。


「溺れてるのはいいけど、そのまま沈まないようにな」


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