「「何このコ……可愛すぎる!!」」

また揃ってそう言った二人が同時に私に抱きついてきた。

「本人からお許し出たよ」
「煌暉も文句言えないよね」

私の耳の側での会話にまた意味がわからなかったけど、二人の態度が私の願望を受け入れてくれたように思えて嬉しくなった。

『えと……またお話して下さい』
「「するする。するよーーーーーーっ」」

さらに二人からギューっとされて、


"く……くるし…い"


頭がそんなことを考えていたら、

「先輩方、それじゃ紫音が死んでしまいますよ?」

すぐ側で黙ったまま私達を見ていた七聖くんが、いつもの優しい表情を見せていた。

「「やだ、ごめんごめん」」

パッと私を解放して苦笑する二人。

『大丈夫です』

そんな二人に私はニッコリと笑顔になった。
そのことにか、何やらソワソワし出した二人が、七聖くんを振り返って、

「「土岐くんの“妹”って小悪魔?」」
「おかげさまで。
でもその言葉の前には“天然”をお忘れなく。ですから覚悟して下さいね」

ニッと笑った七聖くんが二人へ宣告した。


だけどこの時、七聖くんの言葉も、二人の言葉も、ましてやさっきまでの会話の意味でさえ私は理解しようとするまでには及ぶことなく、無意識にそれらを全部はね除けていることに気づいていなかった。


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