パッと私へ向き直った二人がまた私を見下ろしてきて、

「ごめんねぇ……怖がらすつもりはないんだけど」

最初に私へ話しかけてきた人とは違う、もう一人の人が私の目線に合わせて身体を屈ませ、その視線を合わせてきた。

「ちょっ……私は別に…」
「何言ってんの。明らかひいてんじゃん」

私の遠慮がちな態度が何か誤解させてしまったのか…


"怖いわけじゃなくて、質問の意味がわかって、改めて一先輩の人気とその影響力を実感したから、ちゃんと迷惑にならないようにしないと、と思ってただけ"

『私、一先輩とは…
「何してるんですか?」

私が言いかけたところで、意外な人物がそれを遮った。
その聞き覚えのある声に、

『七聖くん』

二人の背後に見えたその人物の名前を私はつぶやいた

自分達の後ろからした声に二人が振り返る。


「先輩方、そのコに何か用でも?」


"先輩?……じゃあ二人は3年生なのか…"


少し冷たく響いた七聖くんの声にその二人が戸惑いを見せた。
ジッと二人を見ていた七聖くんの目が私に移る。

『一先輩のことを聞かれてたんだよ』
「………そうなんだ。……でも、煌暉に直接聞けばいいんじゃないですか?」

七聖くんはそう言いながら私をとらえていた目をまた二人へと戻し、口元に笑みを浮かべる。
だけど、目が笑っていないことが見てとれて、私は自分の背筋がヒヤッとなるのを感じた。


"七聖くんだよね……?……どうしてそんな顔してるの?"


いつもと違う七聖くんの様子に私までもが戸惑う。